6歳の息子にランニングマシンでの走行を強要や日常的な暴行で、虐待・殺人罪で起訴されていた父親に、懲役25年の刑期が下った事件で、母親は1年半で100回以上も児相に通報していたものの介入がなかったというアメリカの事件。
『やるせない話』シリーズ。
6歳の息子を「太り過ぎだ」とトレッドミル(ランニングマシーン)で走らせ、息子が速度についていけずに転んでも、抱えて起こして再びトレッドミルに乗せ、体を押さえつけて無理矢理に息子を走らせている父親と息子の姿をとらえたセキュリティカメラの映像が、今年5月に各国のニュースに流れました。
(ちなみに6歳男児、まったく太っておりません)
衝撃的なトレッドミルの映像は、2021年の3月に撮影されたものです。
この度(2024年8月)、父親に加重過失致死罪で懲役25年の判決が出て、再びニュースになっていたのでご紹介です。
(殺人罪で起訴されていたのですが、陪審員に殺人罪を却下され(←なんでよ?怒)、加重過失致死で20年+児童虐待で5年、合計25年の懲役刑の判決です)
ランニングマシンの出来事からすぐ後の2021年4月2日、何ヶ月にも渡る暴行・虐待の末に亡くなったコリーくん(6)。
暴行の加害者は父親のクリストファー・グレゴー(32)。
父クリストファーの弁護士は、コリーくんの死因は肺炎関連の感染症だと訴えておりましたが、解剖の結果、死因は胸部、腹部の打撲傷、また胸部を殴られたことによる心臓の裂傷と判断され、虐待による死だったと結論づけられました。
コリーくんが亡くなる日の朝、母親のブリアナさんは、(離婚だか別居していた)クリストファー(コリーくんの父親)の元へコリーくんを預けに行きます。
その日の午後、クリストファーから「コリーを病院に連れて行く」と連絡を受けたと言うブリアナさん。
どこの病院に連れて行くのか、教えてもらえなかったと言います。
コリーくんは吐き気と息苦しさを訴えており、サザン・オーシャン・メディカル・センターへ到着した直後に発作を起こします。
病院の監視カメラには、コリーくんの病室の外で医師から説明を受け、椅子に崩れ落ちる父親クリストファーの姿が映っておりました。
しかしその後、クリストファーは病院を後にして逃走。
その約30分後にコリーくんは息を引き取り、帰らぬ人となってしまいました。
(行方不明だったクリストファーは2日後に警察により、発見されました)
クリストファーが病院から逃げたのは、自分がコリーくんにしたこと(暴行・虐待)を分かっていたからですよね。
散々幼い息子に暴力を振るっておきながら、「まさか死ぬとは思っていなかった」と椅子に崩れ落ちたのでしょう。
良く殺人事件などで捕まった犯人が「殺すつもりはなかった」とほざいたりするケースが山ほどありますが、吐き気がしますな(怒)
生前、コリーくんの顔や体のアザ、怪我の数々をフェイスブックなどのSNSに投稿していた母のブリアナさん。
ブリアナさんは、息子コリーくんに対するクリストファーの暴行・虐待を知っていたわけですよね。
黙認していだわけではなく、1年半の間にチャイルド・プロテクション(日本でいう児相に近いもの)に100回以上、通報していたというブリアナさん。
ただ児相が動くことはなく、クリストファーの暴行・虐待が続いてしまったことになります。
(ブリアナさんは現在、児相を相手に裁判を起こしております)
日本の方の感覚からいくと、「なぜ暴行を知っていながら、父親の元へ預けに行ったの!?」と母親のブリアナさんを責めたくなる方もいらっしゃるかも知れません。
ただこれアメリカの事件なので、アメリカでは別れたり離婚をしても、子供がいれば共同親権が一般的ですし、たとえ片親側が単独で親権を持っていても、もう1人の親の方に面会権利がある場合も多々あります。
恐らくクリストファーの場合も、父親として共同親権を持っていた or 面会の権利があったとので(そうでなければブリアナさんが、クリストファーの虐待を知りながらコリーくんを預けることはなかったと思うので)、もしその権利に従わないと、母親のブリアナさんが逮捕されたり、訴えられてしまうわけですよね、クリストファーから。
逮捕されたり訴えられたら、一時的でもブリアナさんが親権を失う可能性も大いにあるので(そうなったらコリーくんはクリストファーの元へ行くことになるので)、ブリアナさんも八方塞がりだったのだと思われます。
最後に、クリストファーに刑期の判決が出た際の、ブリアナさんの涙の訴えを意訳してご紹介します。
「クリストファーは自分が犯した罪に対し、反省・後悔の念は微塵もありません。
彼の唯一の後悔は、自分が逮捕され有罪になったこと、ただそれだけです」
「クリストファーがコリーにしてきた虐待・暴行は全て、私に対する憎しみから行われたものです。
また、クリストファーは異常な人間で、自分の憂さを晴らすためにコリーをサンドバッグにしたのです。
クリストファーはコリーに一切の愛情を持っておらず、コリーはクリストファーにとって邪魔な存在でしかありませんでした」
「クリストファーの数々の虐待にも関わらず、コリーはクリストファーのことが大好きでした。
父親として、あなたのことを尊敬していたのに。
にも関わらず、クリストファーはコリーに立派な父親としてのお手本を見せるのではなく、コリーが死んでしまうまで暴力を振るいました」
「クリストファー、私はあなたが憎い。
あなたのことは絶対に許しません」
やるせませんなぁ(涙)
先日も日本で、児相に子供を預かって欲しいと相談したシングルファーザーが、幼い女の子を連れて無理心中してしまった事件がありました。
日本だけに限らず、欧米でも児相の対応には(例え人手不足だとしても)モヤモヤが残る事件が多すぎですな。
コリーくんのご冥福をお祈りいたします。
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