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統合失調症の受刑者、眼球を取り出し失明。刑務所の過失で勝訴し3億5千万円の賠償金

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痛々しいニュースのご紹介。

かなり過激な自傷行為の表現を含みますので、ご了承の方のみお読みください…。

痛いのが苦手な人は閲覧注意です。

ライアンさん(現在37才)がコロラドの刑務所に収監されていた2016年の出来事ですが、勝訴したので先々週ニュースになっていたのでご紹介します。

ライアンさん(恐らく当時ホームレス)は、別のホームレスの男性に対する軽い暴行罪でコロラドの刑務所に収容されていました。

ちなみに何度かその刑務所を入ったり出たりを繰り返していたライアンさんですが、刑務所に収容される都度、psychosis の状態、つまりはライアンさんの場合、統合失調症の陽性症状(幻覚、妄想、精神錯乱状態など)があったそうですが、薬物投与などの適切な治療を刑務所が受けさせてくれなかったとのこと。

そんなライアンさん、刑務所内で2階から飛び降り自殺を図ります。

頭から落ちたライアンさん、鉄のテーブルとコンクリートの床に頭を打ち脊椎を骨折。

1ヶ月後には再び刑務所内で飛び降り自殺を試みるも、看守たちにタックルされ阻止されます。

その後も刑務所内のトイレの便器に自分の頭を打ち付け、歯を7本折るほどの大怪我を。

そして最初に飛び降り自殺を図ってから6週間後、自分の両目の眼球を取り出そうとし、結果失明するほどの大惨事に。

後にライアンさんは、CIAから眼球を取り出すように指示され(幻聴・妄想)、自分の眼球をくり出すという自傷行為を行ったそうです。

「いくら精神錯乱状態にあっても、自分の目ん玉なんて取り出す人いるのー!?」と思われる方も多いかも知れませんが、たまに見かけるケースです。

私もまだ新人医療従事者だった頃、別の病院で自分の目(片目)に枝を突き刺して眼球を取り出してしまい、転院してきた患者さんを担当したことがあります。

眼球は手術で眼窩に戻したのですが、もちろん視力はなく失明。

術後まだ日が浅く、眼球がまだ飛び出ている状態で、眼球が乾かないように目薬(軟膏タイプ)を2種類さしてガーゼを交換をしました。

無言で作業するのも気まずい&失礼かと思い、他愛のない話をしましたけど、まだ新人だった私は手汗びっしょりでしたよ…

今でもその患者さんのフルネームを覚えています。

まだ小学生の息子さんがいるお母さんでしたけれども、ライアンさんと同じように統合失調症を患っていらっしゃいました。

しばらくうちの病棟に入院されていて、薬の効果もあって症状が抑えられていると、本当に普通のお母さんなんですよ。

退院されて数年後に、別の方法で自死されたことを聞いたときは、とってもやりきれない悲しい気持ちになりました。

残された息子さんのことを思うと、尚更辛いですよね。

話が反れまくりました…

ライアンさんに話を戻し、コロラドの刑務所での度々の自傷行為で、裁判所から「ライアンさんに統合失調症の治療を早急に受けさせるように」という緊急命令が出ていたのですが、それに従わなかった刑務所。

刑務所側は、ライアンさんが薬を拒否したと裁判で反論したのですが、サイコーシス状態にある時、自ら薬をすすんで飲んでくれる患者さんの方が少ないです。

薬に毒が入っているかも知れない、と被害妄想を抱く患者さんも多くいます。

そもそも筋肉注射薬だってあるのですから、激しい自傷行為や自殺未遂を繰り返すするほど精神錯乱状態にあるライアンさんには、強制投薬等が必要でしたよね。

適切な治療を怠ったコロラドの刑務所は怠慢、過失があったとされても仕方がありません。

ライアンさんは民事訴訟で勝訴し250万ドル、日本円にして約3億5600万円の賠償金を得ることとなりました。

視力は戻りませんが、せめて金銭的な代償が支払われて良かったなと思います。

特にライアンさんは軽犯罪で刑務所に入っていたので、尚更ですよね。


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