スポンサーリンク

札幌ススキノ首狩り殺人事件。もし本当に多重人格障害なら幼少期に性的虐待の可能性?

News

札幌すすきのホテル殺人事件で逮捕された田村一家について、医療従事者の視点からいろいろとつっこんでみよう…という日本のニュースに便乗した本日のネタ。

2023年の7月、札幌すすきののホテルで、首のない男性(62)の遺体が発見されたニュース。

後に逮捕された田村瑠奈(30)、父親で精神科医の田村修、母親の田村浩子の3人ですが、事件の真相が徐々に明らかになればなるほど、常軌を逸した衝撃な事件であります。

まだ田村浩子被告の裁判が始まったばかりで、事件の全容は明らかになっておりませんが、事件に関連する記事や世間やメディアの反応も合わせて読んで、気になることがいくつかあったので、医療従事者の視点から突っ込んだり、あーだこーだ言ってみようという本日の企画です。

(特に表立った芸能・セレブニュースもなかったもんで…)

長文なので、トイレ休憩をお忘れなく!

精神科医だからと言って、精神障害や心の病気を治せるわけではない

父親の田村修被告、改め「ドライバーさん」は精神科医だそうですが、メディアや世間では「父親が精神科医なのに!」のような意見が多く見受けられました。

別に精神科医だからといって、精神病を治せるわけではないですよね。

医者は神じゃないんで…

そもそも報道されているように、田村瑠奈被告「お嬢さん」が統合失調症だったのであれば、完治することはない病気です。

統合失調症は抗精神病薬を服用し続け、幻覚や妄想などを抑え、日常生活に支障をきたさないように症状を抑えて、一生向き合っていく病気です。

ただ「治療抵抗性統合失調症」と言うタイプがあり、要は抗精神病薬の最後の砦とされるクロザピン投薬を続けたり、ECT(電気けいれん療法)を何クルーか行っても、入退院を繰り返し一生を終える患者さんも残念ながら一定数います。

とはいえ、ドライバーさんはお嬢さんに抗精神病薬を処方せず、抗うつ剤を試したくらいで終わったようなので、これは精神科医としては余りにも杜撰というか呆れてしまいますな。

こういう人が精神科医、医者をしていること自体が恐いです。

患者さんに対しても、適切な処方や治療を提案しているのか疑問。

「嫌われたくない」、「いい人、いいお医者さんと思われたい」と言う思いが先行していそう…。

ドライバーさんがお嬢さんに「抗精神病薬の副作用があり投薬できなかった」といった報道を見かけた記憶がありますが、抗精神病薬は種類も多いので、「全部試してみたの?ねえどうなのよ、ドライバーさん」とお聞きしたい。

薬が飲めない、飲ませられないのなら、お嬢さんの飲み物に鎮静薬を混ぜ、寝ている間にデポ(持続性注射剤=2週間に1回、月1回、3ヶ月に1回など種類があります)を打つ等も試せたはずです。

(↑のやり方は非人道的ですが、お嬢さんには何かしらの治療が必要だったことは明らかです)

実際、お嬢さんもドライバーさんに、首を絞めて殺して欲しいと泣きながらお願いした過去があるとか。

お嬢さんも統合失調症の幻聴・幻視だったり、ダークな思想に憑りつかれるなどの症状があり、苦しんでいたので自傷行為や自殺願望があったのかも知れません。

そこまで苦しんでいる娘に適切な治療を、たとえ無理矢理だとして受けさせないのは愛ではなく、ネグレクトです。

それから精神障害の他に、お嬢さんは人格障害もあるかも知れませんが、人格障害は要は性格なので(と言ったら語弊がありますが)、薬では治せません。

ドライバーさん(田村修被告)にも人格障害の自己愛性パーソナリティ障害(簡単に言えばナルシスト)があるとお見受けします。

変だもの、いろいろと。

おかんの浩子被告は植物や動物を愛する人らしいですが、こだわりが強そうなところや、ケーキ屋さんでのエピソードを読んだ感じ、空気を読むのが苦手な印象を受けたので、軽度の自閉スペクトラム症の可能性がありそうかなと。

別事件の「旭川女子高生殺人事件」の胸糞悪い犯人、内田梨瑚容疑者は完全に反社会的パーソナリティ障害だと思うので、これも人格障害なので手の施しようがないタイプです。

反社会的パーソナリティ障害(言うても度合いが個人によって差が激しくありますが)の対処法としては「関わらない」以上。

多重人格障害(解離性同一症)の可能性?

両親の供述によれば、お嬢さんは10年くらい前から「瑠奈」と呼ばれることを嫌がり、「田村瑠奈は死んだ」と告げ、「シンシア」やら「ルル」などと名乗るようになったと言います。

これが統合失調症の妄想によるものなのか、実際に多重人格障害を患っているのか、専門医でも判断ないし診断には時間がかかるかと思います(解明しない可能性も)。

多重人格障害は現在では「解離性同一症」やら「解離性同一性障害」に名称が変更となりました。

まあ簡単に言えば、1人の人間に複数の人格が存在してしまう精神障害・疾患です。

欧米では解離性同一症患者の90%以上に、幼少期の性的虐待の被害があると言う、エビデンスベース(根拠に基づく)統計が出ています。

単発や短期の性的虐待被害ではなく、ある程度の長期に渡り、激しい精神的・肉体的苦痛を伴う虐待ないしは性的虐待を受けた場合、自分を守るために別人格が形成されると言うメカニズムなんですよね。

恐らく残り10%の患者さんにおいては原因が不明だったり、幼少期の性的虐待を証明するのが難しいケースなのかも知れませんね。

なのでもし本当に田村瑠奈被告が解離性同一症(多重人格障害)なのであれば、お嬢さんは幼少期の虐待の被害者だったりするのだろうか?と疑問に思いました。

であるとすれば、どこまでも切ない救いようのない話で悲しくなります。

幼少期は「普通」の子で友人もいた

お嬢さん(瑠奈被告)は子供の頃はお友達を家に呼んだりと、「普通の子」だったらしいですが、小学生時代にすでに不登校になってますよね。

(不登校を非難しているわけではありません)

中学校以降はほとんど学校に通えなくなったそうで、何があったのかは本人のみぞ知る…。

もし仮に、お嬢さんが本当に統合失調症だとすると、発症が早かったのかも知れませんね?

統合失調症は一般的に、10代の後半から20代前半の発症が多いとされている精神障害です。

もちろん個人差があり、私が携わったことのある患者さんで、小学生の頃に発症した女性がいました。

(シングルマザーのお母様が日本人で、重症な類に入る統合失調症の娘さんだったので、お母様もすごくご苦労されている様子で、10年以上たった今でも記憶に残っている患者さんです)

逆に、53歳になって統合失調症と診断された中国人の女性患者さんもいましたけれども、彼女の場合は症状が軽い方だったので、「ちょっと変わっている人」で見過ごされてきてしまったケース。

世の中にも軽度の統合失調症で、診断を受けていない「隠れ統合失調症」の方もたくさんいると思います。

ただお嬢さん(瑠奈被告)レベルの常軌を逸した日常生活や性格をそのままにしてきた両親は、世間から非難されてしまっても仕方がないですよね。

母親の浩子被告も「なすすべがなかった」と言っていたかと思いますが、恐怖や洗脳で支配されていたとしても、家に生首が置かれていたら、「あーた、警察に電話1本くらいはかけれたでしょうよ」と思ってしまいますわ。

父親のドライバーさん(修被告)も「警察に通報することは娘を裏切ることになるので出来なかった」云々言っていたと思いますが、娘と自分たち家族を間違った意味で守ることを優先した、ただの自己愛・自己満の塊だと思います。

そもそも言い訳が多いんですよね、このドライバーさん。

猟奇的な趣向はどこからくるのか

これについては個人的には全くもって分かりません。

狂暴性と猟奇性というのは、似ているようで別なのではないかと思います。

暴力的な人は多くいますが、その方たちが猟奇的な事件を起こすとは限りませんよね。

実際、お嬢さん(瑠奈被告)には暴力的な傾向ななかったと言う両親の証言です。

私もそこそこ医療従事者を続けてきたので、ここには書けないような暴力的、狂暴性のある患者さんを見てきましたが、猟奇的な患者さんには多分会ったことがないと思います。

薬物誘発性の精神障害(一時的なもの。例えば覚醒剤を使用し、一時的に幻覚などを発症している等)で、ペットの皮を剥いだようなケースは数件携わったことがありますが、この患者さんたちが猟奇的か?と問われると、ちょっと疑問です。

強烈に残虐ではありますが、猟奇的かと言われると悩む…。

お嬢さん(瑠奈被告)の猟奇性はちょっと別レベルなので、もうこれは育て方云々の問題ではなく、持って生まれた特性ですよね。

たとえ両親が溺愛せずに厳しく育てていたとしても、嗜好と言うのは変わらないと思います。

何はともあれ、前代未聞の非情に異様な事件ですよね。

こういう家族が現実に、しかも日本に存在していたことがビックリです。


コメント